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スルリム注射とは?効果・回数・料金の考え方とリスクを解説

「スルリム注射って、脂肪溶解注射とは違うの?」「1部位1万円前後と書いてあるけれど、本当にそれで済むの?」「怪しいという声もあるけれど、実際どうなの?」——SNSやウェブ広告で見かけて、そう感じて検索された方が多いのではないでしょうか。

結論からお伝えします。スルリム注射は、特定の薬剤名でも一般名でもなく、デオキシコール酸(胆汁酸の一種)を主成分とする国内未承認の注射薬を用いた、韓国発とされる脂肪溶解注射のメニュー名です。 成分そのものは、米国で承認されている注射薬と同じ系統です。ただし、その承認は「あごの下(顎下部)の脂肪」に対してのみで、二の腕・お腹・太ももでの有効性と安全性は、承認の裏づけがありません。 そして日本国内では、この系統の注射薬は承認されていません。

つまりスルリム注射は、「効果が確立した治療」ではなく成分の一部に科学的な土台はあるものの、部位・製剤・回数の面では未確立な部分が残る自由診療という位置づけになります。

この記事では、次のことを整理します。

  • スルリム注射とは何の名前なのか(薬剤名ではありません)
  • デオキシコール酸が脂肪に対して何をするのか、その仕組み
  • 効果の根拠がどこまで確認できて、どこから先が確認できないのか
  • 効果を実感するまでの期間、回数と間隔の目安
  • 「効果ない」「痩せない」と感じる原因
  • 公的資料の数値に基づく副作用の発現率とダウンタイム
  • 料金を「1部位いくら」ではなく総額で考える方法
  • 未承認医薬品であることの意味(救済制度の対象外である点を含む)
  • カウンセリングで確認したい8つの質問

### 【本記事について — 先にお伝えしておきたいこと】 – 当院(エイトビューティークリニック)は、スルリム注射を提供していません。 本記事は、販売目的ではない情報提供として作成しています。 – そのため、良い面も未確定な面も、そのままお伝えできます。特定の治療を推奨するものでも、特定の医療機関を評価するものでもありません。 – 本記事で扱う施術は、いずれも公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。費用は全額自己負担となります。 – 効果・経過・副作用には個人差があります。最終的な適応の判断は、必ず医師の診察のうえで行われます。

スルリム注射とはデオキシコール酸を用いた国内未承認の脂肪溶解注射メニューであることを示す図解

目次

スルリム注射とは?まず「何の名前なのか」を整理する

検索して最初につまずくのが、この点です。「スルリム」という言葉が何を指しているのかが、はっきりしないまま話が進んでしまうのです。ここを正確に押さえておくと、以降の情報の読み方が変わります。

スルリム注射は薬の名前ではなく、医療機関が提供するメニューの名称

まず押さえておきたいのは、「スルリム注射」は医薬品の一般名(成分名)でも、製薬会社が付けた製品名でもないということです。

今回、公開されている情報を調べた範囲では、国内でこの名称の施術を提供していることを確認できた医療機関は1院のみでした。つまりスルリム注射とは、特定の医療機関が提供している施術メニューの呼び名として広まった言葉、と理解するのが正確です。

この区別は、実務上とても重要です。たとえば「ボトックス」であれば有効成分と製品が特定でき、添付文書を読めば濃度も用法も副作用の発現率も確認できます。しかしメニュー名の場合、その中身は提供する医療機関が説明しない限り分かりません。 「スルリム注射の効果は◯◯です」と書かれた記事を読むときも、その記述がどの製剤の、どの濃度の、どの部位への使用に基づくものなのかを意識して読む必要があります。

韓国発とされる背景 —「슬림」はハングルで「スリム」

「슬림(スルリム)」は、韓国語で英語の “slim(スリム)” を表記した言葉です。ハングルをそのままカタカナに置き換えると「スルリム」となります名称の由来からも、この施術が韓国由来のメニューとして日本に紹介されたことがうかがえます。

提供院・各解説記事とも「韓国発」という点では一致しています。ただし、韓国のどの製薬会社の、どの製品を用いているのかまでは、公開情報から特定できませんでした。 「韓国で人気」「韓国で広く行われている」といった説明は、その施術の有効性を裏づけるものではない、という点は押さえておいてください。

主成分はデオキシコール酸(胆汁酸の一種)

提供院の説明でも、各解説記事でも一致しているのが、主成分がデオキシコール酸(deoxycholic acid、DCA)であるという点です。

デオキシコール酸は、もともとヒトの体内に存在する胆汁酸の一種です。胆汁酸は肝臓でつくられ、胆汁の成分として腸に分泌され、食事に含まれる脂質を乳化して吸収しやすくするはたらきを担っています。「脂を分散させる性質を持つ物質」と理解しておくと、後で説明する作用の仕組みが分かりやすくなります。

このデオキシコール酸を医薬品として精製し、皮下に注射する治療は、米国で承認されています(詳しくは後述します)。成分そのものは、素性の分からない物質ではありません。 ここが、スルリム注射の話をややこしくしている部分でもあります。「成分には根拠がある。ただし、どこに、どれだけ使うかは別の問題」——これが本記事の要点です。

製品名・製造元・デオキシコール酸の濃度は、公開情報から確認できなかった

ここは、多くの解説記事が触れていない部分です。正直にお伝えします。

今回のリサーチでは、スルリム注射に使われている製剤の「製品名」「製造メーカー」「デオキシコール酸の濃度」を示す一次情報を確認できませんでした。

  • 提供院のウェブサイトには、製品名・メーカー名の記載がありません
  • 「高濃度」という表現は見られますが、具体的に何 mg/mL なのか、何%なのかを示す公表資料を確認できませんでした。
  • 併用されている成分があるかどうかも、公開情報からは分かりませんでした。

参考までに、後述する米国承認薬の濃度は 10mg/mL(1%) です。国内の美容クリニックで用いられている脂肪溶解注射は製剤ごとに内容が異なるため、濃度が示されなければ、承認薬や他の製剤と比べて濃いのか薄いのかを判断することはできません。

「効果が強い」「従来より高濃度」といった説明を受けたときに、その濃度が数値で示されるかどうかは、情報開示の姿勢を測るひとつの目安になります。カウンセリングで確認してよい事項です。

日本で提供している医療機関は、ごく限られている

前述のとおり、今回のリサーチで提供を確認できたのは1院のみでした。これは「相場」を考えるうえで決定的に重要な事実です。

提供している医療機関が限られている以上、「スルリム注射の料金相場は◯円」という言い方は成り立ちません。 相場とは、複数の提供者の価格が市場で並んだときに初めて形成されるものだからです。料金について書かれた記事を読むときは、それが「相場」なのか「特定の医療機関の公表価格」なのかを区別してください。この点は、後の料金の章で詳しく扱います。

スルリム注射の仕組み — デオキシコール酸は脂肪に何をするのか

ここからは、成分の作用について整理します。仕組みを理解しておくと、「なぜ腫れるのか」「なぜ複数回必要なのか」「なぜすぐには評価できないのか」が納得しやすくなります。

脂肪細胞の膜に作用する(アディポサイトリシス)

デオキシコール酸は、前述のとおり脂質を乳化する性質を持つ物質です。この性質から、皮下脂肪に注射されると、脂肪細胞の細胞膜に作用して細胞を融解させると考えられています。この現象は アディポサイトリシス(adipocytolysis:脂肪細胞融解) と呼ばれます。

米国承認薬の添付文書にも、作用機序として「注射された部位で脂肪細胞の融解を引き起こす」旨が記載されていますつまり、この作用自体は推測ではなく、承認薬の公的な文書に記載されている内容です。

壊れた脂肪細胞は、時間をかけて処理・排出される

脂肪細胞が壊れると、細胞の残骸と遊離した脂質がその場に残ります。ここから先は、体の側の反応です。

  1. マクロファージ(不要なものを取り込んで処理する免疫細胞)が注射部位に集まってきます。
  2. マクロファージが細胞の残骸や脂質を取り込みリンパ・血流を介して運び出します。
  3. その過程で線維芽細胞が動員され、コラーゲンの新生を伴う組織の再構成が起こると報告されています。

添付文書でも、注射後に炎症を伴う組織反応が続き、時間をかけて落ち着いていく経過が記載されています。「脂肪が溶けて、その日のうちに流れ出る」という単純な現象ではありません。

腫れ・熱感・痛みは「仕組みの一部」であって、異常ではない

上の流れを踏まえると、次のことが理解できます。

注射後の腫れ・熱感・痛みは、体が壊れた脂肪細胞を処理している過程で起こる反応です。つまり、副作用であると同時に、作用の一部でもあるという性質を持ちます。

だからこそ、施術直後から数日間は、むくみによってむしろ太く見えることがあります。 ここで「失敗した」「効果がない」と判断してしまうと、正確な評価はできません。この点は、後の「効果はいつから」の章でもう一度扱います。

「脂肪細胞の数が減る」と「リバウンドしない」は、同じ意味ではない

脂肪溶解注射の説明でよく見かけるのが、「脂肪細胞そのものを減らすからリバウンドしない」という表現です。ここは正確に理解しておく必要があります。

  • 成人の脂肪細胞の数は、大きくは増減しにくいと考えられており、破壊された脂肪細胞がその場で再生するとは一般に考えられていません。
  • しかし、残っている脂肪細胞は、摂取エネルギーが増えれば大きくなります(肥大)。

つまり、細胞の「数」が減っても、体重が増えれば残った細胞が膨らみ、見た目としては元に戻り得ます。 「リバウンドしない」という言い方は、この部分を省略した表現です施術後の食事・運動の管理が不要になるわけではない、と理解しておいてください。

脂肪溶解注射そのものの仕組み・効果の出方・回数の考え方については、脂肪溶解注射の効果はいつから?回数の目安を解説した記事で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。

医師が資料をもとに説明する様子

効果の根拠はどこまで確認できるのか

ここが本記事でもっともお伝えしたい部分です。「効果がある」とだけ書かれた記事も、「効果がない」とだけ書かれた記事も、現状を正確には表していません。

米国で承認されている注射薬 KYBELLA®(ATX-101)の概要

デオキシコール酸を有効成分とする注射薬として、米国で承認されているのが KYBELLA®(カイベラ、開発コード ATX-101、カナダでの製品名 Belkyra) です。公開されている添付文書から、次のことが確認できます。

項目 内容
承認 米国FDA、2015年4月29日
適応 成人の中等度〜重度の顎下部脂肪(あご下のふくらみ)の外観改善
濃度 10mg/mL(2mLバイアル)
用法 0.2mLずつ、1cm間隔で皮下に注射
1回の上限 50カ所/10mL
総回数 最大6回
投与間隔 1ヶ月以上あける
投与量の目安 治療面積あたり 2mg/cm²
日本での承認 なし(国内未承認)

出典:DailyMed KYBELLA 添付文書/FDA 薬剤ラベル(2015)

この表を見て、まず気づいていただきたいのは用法の細かさです。「0.2mLずつ、1cm間隔で、1回50カ所まで、1ヶ月以上あけて、最大6回」——承認薬とは、ここまで具体的に投与方法が定められているものです。裏を返せば、製品名も濃度も分からない製剤では、この水準の用法を照合することができません。

承認されているのは「顎下」だけ — 他の部位は評価されていない

ここが、この記事でもっとも重要な事実です。

KYBELLA の適応は、成人の顎下部脂肪(submental fat)の外観改善のみです。そして FDA は、消費者向けの情報ページで、この薬剤は顎下以外のいかなる部位への使用も承認していないと明記しています(FDA: Using Fat-Dissolving Injections That Are Not FDA Approved Can Be Harmful)。

つまり、次のように整理できます。

  有効性・安全性の評価
あご下(顎下部) 米国の承認審査で評価済み(第III相試験のデータあり)
二の腕・お腹・太もも・その他 承認審査で評価されていない(=承認の裏づけがない)

「FDA承認成分を使用しています」という説明を目にしたとき、それは「顎下用として承認された成分である」という意味であって、「あなたが希望する部位で有効性と安全性が確認されている」という意味ではありません。 医療機関では、承認の範囲と実際に行う施術の範囲が一致しているかどうかを、常に区別して考えます

なお、承認の範囲外での使用がただちに不適切だという意味ではありません。医師の判断で承認範囲外の使用が行われることは、医療の現場では珍しくありません。重要なのは、「どこまでが承認に裏づけられた話で、どこからが医師の裁量による判断なのか」を、患者側が説明を受けたうえで理解しているかどうかです。

第III相試験(REFINE-1 / REFINE-2)では何が確かめられたのか

KYBELLA の承認の土台になったのが、米国・カナダで実施された2つの第III相ランダム化比較試験REFINE-1REFINE-2 です。

  • 対象:顎下部の中等度〜重度の脂肪を有する成人
  • 規模:実薬群 514名 / プラセボ群 508名
  • 投与:最大6回、1ヶ月以上の間隔
  • 評価:医師による評価尺度と患者による評価尺度の両方で改善を評価

出典:ATX-101 第III相RCT(JAAD)/REFINE試験の追跡報告(Aesthetic Surgery Journal 2021)

この試験の設計で注目したいのは、プラセボ(有効成分を含まない注射)群が置かれている点です。注射という手技そのものにも腫れや刺激は伴いますし、「治療を受けた」という認識は評価に影響します。対照群を置いて初めて、成分そのものの効果を切り分けられます。

言い換えれば、「◯人が満足した」「使用者の◯%が実感」といった数値は、この設計を経ていない限り、成分の効果を示す根拠にはなりません。

「最大35%破壊」「従来の5倍」「99%リバウンドなし」— 根拠となる公表データを確認できなかった

スルリム注射の広告や紹介記事では、「脂肪細胞を最大35%破壊」「従来の脂肪溶解注射の5倍の効果」「99%リバウンドなし」といった数値表現が見られます。

今回のリサーチでは、これらの数値の根拠となる公表データ(臨床試験、査読論文、公的な資料など)を確認できませんでした。

これは「数値が誤りである」と断定するものではありません。確認できなかった、という事実をそのままお伝えしています。 出典が示されていない数値は、正しいとも誤りとも判定できない、というのが正確な状態です。

そのうえで、広告で数値を見たときに確認したい3点をお渡しします。これはスルリム注射に限らず、あらゆる美容医療の広告に使える見方です。

# 確認すること なぜ重要か
誰が、どんな方法で測ったのか 医師の目視評価か、画像解析か、超音波での厚み測定か。測り方で数値は変わります
何と比べた数値なのか 「5倍」は、何を基準にした5倍なのか。比較対象が示されなければ意味を持ちません
どこで公表されているのか 論文、添付文書、公的資料など、第三者が確認できる場所にあるか

この3点に答えられない数値は、判断材料としての重みが下がると考えてよいでしょう。カウンセリングで「この数字の出典を教えてください」と尋ねることは、失礼にはあたりません

二の腕・お腹・太ももでの効果は、どう考えればよいか

「顎下しか承認されていないなら、二の腕やお腹に打つ意味はないのか」——そう感じられたかもしれません。ここは慎重に整理します。

  • デオキシコール酸が脂肪細胞に作用するという仕組み自体は、部位によって変わるものではないと考えられます。
  • しかし、有効性と安全性が臨床試験で確認されたのは顎下のみです。他の部位での適切な投与量、投与間隔、回数の上限、起こり得る有害事象の頻度は、承認審査の対象になっていません。
  • さらに、部位が広くなるほど、必要な薬液量と施術回数が増えます。 顎下の面積と、お腹や太ももの面積を比べれば、その差は明らかです。

医療機関では、こうした場合に「面積あたりどれだけの薬剤が必要か」という観点から考えます。承認薬の用法では治療面積あたり 2mg/cm²、1回の上限は 10mL と定められていますこの上限の考え方をそのまま広い面積に当てはめると、1回で処置できる範囲はそれほど広くありません。 「注射だけで太ももを細くする」という発想が、回数と費用の面で現実的でなくなりやすいのは、このためです。

部位ごとの考え方については、部分痩せの医療施術をどう選ぶかを整理した記事でより詳しく扱っています。

デオキシコール酸注射薬KYBELLAの承認内容・用法・適応部位をまとめた図解

効果はいつから?回数と間隔の目安

「スルリム注射 効果 いつから」は、非常に多く検索されているキーワードです。時間の経過に沿って整理します。

施術直後〜1週間:腫れで、むしろ太く見えることがある

前述のとおり、腫れは作用の過程で生じる反応です。承認薬の臨床試験では、注射部位の浮腫・腫れが 87% に見られたと報告されています。

そのため、施術直後から数日間は、施術前より膨らんで見えることが珍しくありません。 熱感・痛み・赤み・内出血も同時期に生じますこの段階での見た目は、効果の評価対象になりません。

「翌日から変化を感じた」という説明を見かけることもありますが、腫れが引いていく過程と、脂肪が減っていく過程は、外見上区別が難しいという点は知っておいてください。

1〜2週間:腫れが落ち着き、変化が見えはじめる

一般に、腫れや内出血は1〜2週間ほどで落ち着いてくるとされています。輪郭の変化が分かるようになるのは、多くの場合ここから先です

ただし、しびれや硬さ(硬結)は、より長く続くことがあります。 承認薬の試験では、しびれが30日を超えて続いた人が 42% と報告されています。「腫れが引いた=すべて元通り」ではないという点は、次章のリスクの部分で詳しく扱います。

1〜3ヶ月:最終的な評価をする時期

壊れた脂肪細胞の処理と、その後の組織の再構成には時間がかかります。そのため、1回の施術に対する最終的な評価は、1〜3ヶ月後が目安と考えられます。承認薬の用法が「1ヶ月以上あけて次の回」と設計されているのも、この時間軸と整合しています。

逆に言えば、施術から2週間で「効果がなかった」と結論づけるのは早すぎます。

回数の目安 — 承認薬の用法は「1ヶ月以上あけて最大6回」

回数について、公的資料に基づいて言えるのは次の1点だけです。

KYBELLA の用法は、1ヶ月以上の間隔をあけて、最大6回まで。

これは顎下に対する用法であり、他の部位についての定めではありません。他院の解説では「顎下・フェイスラインで3〜5回」「二の腕はより多く必要」といった記載も見られますが、これらは各医療機関の運用上の目安であり、臨床試験で確立された回数ではありません。

  出どころ 位置づけ
1ヶ月以上あけて最大6回(顎下) 米国承認薬の添付文書 公的資料に基づく用法
顎下・フェイスラインで3〜5回 各院の解説 運用上の目安
2〜4週間に1回 各院の解説 運用上の目安(承認薬より短い間隔)
二の腕・ボディはより多く 各院の解説 運用上の目安

「1回で完結する施術ではない」という前提を、先に持っておく

この記事でもっともお伝えしたい実務的なポイントです。

デオキシコール酸を用いた注射は、設計として複数回の反復を前提にした施術です。承認薬ですら最大6回までの反復投与が想定されています

したがって、

  • 1回で劇的に変わることは期待しにくい
  • 腫れが引くまでは評価ができない
  • 必要な回数を見込んで、総額とスケジュールを先に確認しておく必要がある

——この3点を最初に理解しておくことが、「効果ない」「思っていたのと違った」という結果を避ける近道になりますこれは施術を否定する話ではなく、期待値を正しい位置に合わせるための話です。

エイトビューティークリニック新宿院のパウダールーム

「効果ない」「痩せない」と感じるのはなぜか

「スルリム注射 効果ない」「痩せない」「後悔」といった検索が多いのには、いくつかの構造的な理由があります。順に整理します。

① まだ腫れが引いていない段階で判断している

もっとも多いパターンです。前述のとおり、施術後しばらくは腫れによって太く見えることがあります。 この時期の見た目で判断すると、当然ながら「変わらない」「むしろ悪化した」という印象になります

② 回数が足りていない

反復を前提とした施術を、1〜2回で評価しているケースです「初回価格が安かったので1回だけ試した」という受け方は、施術の設計と噛み合っていません。

③ 悩みの原因が、そもそも脂肪ではなかった

これは非常に重要なポイントです。あご下や二の腕の”もたつき”の原因は、脂肪だけとは限りません。

原因 見分けの手がかり(あくまで目安)
皮下脂肪 指でつまめる厚みがある
皮膚のたるみ 上を向いたり、皮膚を引き上げると印象が大きく変わる
筋肉量・姿勢 姿勢を正すと輪郭の印象が変わる。首の前傾がある
むくみ 朝と夕方で差が大きい。塩分・睡眠で変動する
骨格・舌骨の位置 体重が変わっても輪郭の印象があまり変わらない

原因が脂肪でない場合、脂肪に働きかける施術を何回重ねても、満足のいく変化は得にくくなります。 それどころか、たるみが主体の方の脂肪だけを減らすと、皮膚の余りが目立ちやすくなることもあります。

医療機関では、施術の種類を選ぶ前に、「その悩みの原因が何なのか」を診察で見極めることを出発点に考えます。ここを飛ばして施術名から入ってしまうと、選択を誤りやすくなります

④ 部位が広すぎて、投与量に対して面積が大きい

前章で触れたとおりです。同じ量の薬剤でも、狭い部位に使えば濃く行きわたり、広い部位に使えば薄く分散します。 お腹や太ももといった広い面積を、少ない回数で変えようとすると、変化を感じにくくなります

⑤ 体重が増えれば、残った脂肪細胞は肥大する

施術後に生活習慣が変わり、体重が増えた場合、残っている脂肪細胞が大きくなることで、見た目としては戻ります。 「施術を受けたのだから大丈夫」と考えて食生活が変化してしまうケースは、実際に起こり得ます。

施術を受けるか考える女性

リスク・副作用・ダウンタイム — 公的資料の数値で見る

ここは、もっとも丁寧に読んでいただきたい章です。多くの解説記事では「腫れ・内出血が1〜2週間程度」と一行で流されがちですが、公的資料には具体的な発現率が記載されています。

承認薬の臨床試験で報告された副作用の発現率

以下は、KYBELLA の第III相試験のプール解析(安全性の解析対象:実薬 513名 / プラセボ 506名)で報告された、注射部位を中心とする有害事象の発現率です。

事象 KYBELLA(実薬) プラセボ
注射部位の浮腫・腫れ 87% 43%
血腫・内出血 72% 70%
疼痛(痛み) 70% 32%
しびれ(感覚の低下) 66% 6%
紅斑(赤み) 27% 18%
硬結(組織が硬くなる) 23% 3%
知覚異常 14% 4%
結節(しこり) 13% 3%
そう痒(かゆみ) 12% 6%
頭痛 8% 4%
熱感 4% 2%
下顎縁神経の障害(左右非対称の笑顔・顔面筋の力の入りにくさ) 4% 1%未満
嚥下障害(飲み込みにくさ) 2% 1%未満

出典:DailyMed KYBELLA 添付文書

重要な注記:上の数値は、米国で承認されている KYBELLA の臨床試験データであり、スルリム注射のデータではありません。 スルリム注射に用いられる製剤の製品名・濃度は公開情報から確認できていないため、この数値をそのまま当てはめることはできません同じ系統の成分を用いた注射で、どのような事象がどの程度の頻度で起こり得るのかを知るための参考値として掲載しています。

この表を見ると、いくつかのことが分かります。

  • 腫れ・痛み・しびれは、少数に起こる例外的な事象ではありません。 大半の方に生じています。
  • 内出血は、プラセボ群でも 70% に見られています。これは注射という手技そのものに伴う事象であることを示しています。
  • 一方で、しびれ(66% vs 6%)、硬結(23% vs 3%)、結節(13% vs 3%)は、実薬群で明確に高く成分の作用に関連した事象と考えられます

30日を超えて続くことがある症状

添付文書には、30日を超えて持続した事象についても記載があります(10%を超えたもの)。

事象 30日を超えて持続した割合
しびれ 42%
腫れ 20%
痛み 16%
硬結 13%

「ダウンタイムは1〜2週間」という説明だけでは、この部分が抜け落ちます。 とくにしびれが1ヶ月を超えて続く可能性があることは、施術のスケジュールを考えるうえで知っておく価値があります

添付文書に記載されている警告

承認薬の添付文書には、次の警告(Warnings and Precautions)が記載されています。

  • 下顎縁神経(顔の下部を支配する神経)の障害左右非対称の笑顔、顔の筋肉の力が入りにくくなる症状。臨床試験では全例が自然に回復しましたが、回復までの期間は1日〜298日(中央値44日)と幅がありました。
  • 嚥下障害(飲み込みにくさ) … 局所の腫れや痛みに伴って生じます。自然に回復し、期間は1〜81日(中央値3日)でした。もともと飲み込みに問題がある方への使用は避けるとされています。
  • 血腫・内出血 … 抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方では注意が必要です。
  • 唾液腺・リンパ節・筋肉・血管への注射を避ける … 組織の損傷につながる可能性があるためです。
  • 脱毛、注射部位の潰瘍・壊死 … 報告があり、生じた場合は回復するまで治療を中止するとされています

これらは「起こる」という話ではなく、「起こり得るものとして管理されている」という話です。 逆に言えば、解剖学的な知識に基づいて注射部位を選ぶこと自体が、この施術の安全管理の中核にあたります。誰がどこに打つかが、そのまま安全性に直結する施術である、ということです。

未承認の製剤に固有のリスク — FDAの注意喚起(2023年12月)

ここまでは承認薬のデータでした。承認されていない製剤には、これとは別のリスクがあります。

米国FDAは 2023年12月20日、FDA未承認の脂肪溶解注射(Aqualyx、Lipodissolve、Lipo Lab、Kabelline 等。主成分はホスファチジルコリン+デオキシコール酸、いわゆる “PCDC注射”)について、次のような有害事象の報告があるとして注意喚起を行っています

  • 永久的な瘢痕(消えない傷あと)
  • 重篤な感染症
  • 皮膚の変形
  • 嚢胞(のうほう)
  • 深く、痛みを伴うしこり

またFDAは、インターネットで脂肪溶解製品を購入して自分で注射しないよう強く呼びかけています。

出典:FDA: Using Fat-Dissolving Injections That Are Not FDA Approved Can Be Harmful

⚠️ 公平のためにお伝えします。 このFDAの注意喚起で名指しされている製品には、当院(エイトビューティークリニック)が提供している脂肪溶解注射「カベリン(Kabelline)」も含まれています。 「他院で使われている製剤は未承認だから危険で、当院のものは安全」という書き分けはできませんし、するべきでもありません。デオキシコール酸を用いた注射のうち、米国で承認されているのは顎下用の KYBELLA のみで、日本の美容クリニックで用いられている脂肪溶解注射は、当院で用いているものを含めて国内未承認です。 当院のカベリンについての未承認医薬品5項目の開示は、後の章に記載しています

受けられない人・慎重な判断が必要な人

スルリム注射そのものについて確立された禁忌リストは存在しません。 製剤の情報が公開されていないためです。以下は、承認薬の添付文書と、注射という手技一般の考え方に基づく一般論としてお読みください。

  • 注射する部位に感染がある方(承認薬では禁忌とされています)
  • もともと飲み込みに問題がある方(顎下への使用時)
  • 抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方(内出血のリスクが高まります)
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 重い基礎疾患・免疫の低下がある方
  • 胆汁酸や薬剤にアレルギーのある方
  • 皮下脂肪がごく薄い部位を希望される方、たるみが主体で脂肪が主因ではない方(効果が出にくく、たるみが目立つ結果になることがあります)
  • 顎下以外の部位を希望される方(承認の裏づけがない旨の説明を受けたうえでご判断ください)

該当するかどうかの最終的な判断は、必ず医師の診察のうえで行われます。 ウェブの情報で自己判断せず、既往歴・服薬内容を正確に伝えてご相談ください

承認薬KYBELLAの臨床試験で報告された副作用発現率をプラセボと比較した横棒グラフ

料金はいくらか —「1部位いくら」ではなく「総額」で考える

「スルリム注射 料金」「値段」「1部位」も、非常に多く検索されているキーワードです。ここも正確に整理します。

公表されている価格帯 —「相場」と呼べるものは形成されていない

冒頭で述べたとおり、今回のリサーチで国内の提供を確認できた医療機関は1院のみでした。したがって、

スルリム注射に「相場」と呼べる価格は、現時点で形成されていません。

これが正確な表現です。ウェブで「スルリム注射の相場は◯円」と書かれていた場合、それは実質的に特定の医療機関の公表価格を指している可能性が高い、ということになります。

公表されている情報から言える範囲でお伝えすると、あご・二の腕といった部位で1部位あたり1万円台〜、その他の部位で3万円前後という価格帯が公表されています(これは提供を確認できた医療機関の公表価格に基づくもので、相場を示すものではありません)。ただし、同じ施術について、掲載されている媒体によって異なる価格が表示されている例も確認できました。 本記事では、特定の医療機関のキャンペーン価格や割引価格は掲載しません。そうした価格は条件によって変動し、転記した時点で正確性を保証できなくなるためです。

価格を確認するときは、必ずその医療機関の公式サイトの最新情報を、ご自身の目でご確認ください。

総額の計算式 — ここを最初に押さえる

美容医療で「思っていたより高くついた」となる原因は、ほぼ例外なく1回あたりの単価だけで判断していることにあります。実際の負担は、次の式で決まります。

総額 = 1部位あたりの単価 × 必要回数 × 施術部位数 + 初診料・カウンセリング料などの諸費用

たとえば、必要回数が3〜6回と見込まれる施術で、部位が2箇所ある場合を考えてみてください。単価に対して、実際の負担は6倍から12倍の幅を持ちます。ここに初診料や薬剤費、麻酔代などが加わります

したがって、カウンセリングで確認すべきは次の項目です。

  • 1部位の「部位」の定義(どこからどこまでが1部位か)
  • 想定される回数(何回で評価するのか)
  • 想定される施術間隔と通院期間
  • 初診料・カウンセリング料・麻酔代・薬剤費が別途かかるか
  • 上記をすべて含めた総額

「総額はいくらになりますか」という質問に、その場で具体的に答えられるかどうかは、そのまま情報開示の姿勢を表します。

初回価格・キャンペーン価格を見るときの注意

「初回◯◯円」「1部位◯,◯◯◯円〜」といった表示は、それ自体が問題なわけではありません。ただし、次の点を確認しないまま契約すると、想定とのずれが生じます。

確認項目 なぜ必要か
「初回」の適用条件 1回限りか、部位が限定されているか
2回目以降の料金 反復が前提の施術では、ここが総額の大半を占めます
「〜円〜」の「〜」の意味 下限価格が適用される条件は何か
コース契約の中途解約条件 途中でやめる場合の返金規定
表示が税込か税別か 総額表示になっているか

高額なコース契約は、その場で決めずに持ち帰って検討できることが原則です。 当日限りの割引を強く勧められた場合は、いったん立ち止まってよい場面です

自由診療なので、費用は全額自己負担

美容を目的とした施術は、公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)です。費用は全額自己負担となり、美容目的の場合は医療費控除も原則として対象外と考えられます。

医療費用のイメージ

知っておきたい「未承認医薬品」ということの意味

「スルリム注射 未承認」「怪しい」という検索が多いのは、この点についてきちんと説明している情報が少ないためだと考えられます。ここを正面から整理します。

国内で薬事承認された脂肪溶解注射薬は存在しない(当院のカベリンを含む)

まず事実として押さえていただきたいのが、次の点です。

脂肪の減少を目的として注射する医薬品で、日本国内で薬事承認されたものはありません。

これはスルリム注射に限った話ではありません。BNLS、FatX、カベリンなど、名称は異なっても、国内で用いられている脂肪溶解注射はいずれも国内未承認です。米国で承認されている KYBELLA も、日本では承認されていません

当院で提供しているカベリンも、この例外ではありません。 未承認であることを前提に、医師の診察のうえで適応を判断し、リスクを説明したうえでご提供しています。

医師が治療のために未承認薬を輸入する制度

「未承認なら、なぜ日本のクリニックで使えるのか」という疑問が生じるかもしれません。

日本では、医師が自分の患者の治療に用いる目的で、未承認の医薬品を輸入することが、一定の手続きのもとで認められています。医師が治療に用いる目的で輸入する場合、地方厚生局に輸入確認申請書を提出し、「輸入確認証」の交付を受ける必要があります(近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」)。

そして厚生労働省は、医師が個人輸入した国内未承認医薬品によって健康被害が生じた事例が報告されているとして、医療機関に対し次の対応を求めています(厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」)。

  • 安易に投薬しないこと
  • 投薬する場合は、患者に「国内未承認であり、品質・有効性・安全性が確認されたものではない」ことを説明すること
  • 副作用による健康被害の有無を随時確認するなど、慎重に実施すること

つまり「未承認である旨の説明」は、医療機関に求められている対応です。 説明がないまま話が進む場合、その点をご自身から尋ねていただいて構いません

医薬品副作用被害救済制度の対象にならない

ここは、費用や効果と同じくらい重要な判断材料です。

日本には、医薬品を適正に使用したにもかかわらず重い健康被害が生じた場合に給付を行う「医薬品副作用被害救済制度」があります。しかし、

未承認医薬品や個人輸入された医薬品による健康被害は、この制度の対象になりません。

万一の際に、公的な補償の枠組みが働かないということです。これは、スルリム注射だけでなく、当院のカベリンを含む国内未承認の脂肪溶解注射すべてに共通します。

未承認医薬品を用いる自由診療の広告に必要な5項目 — 読者が広告を見抜く基準になる

医療広告ガイドラインでは、未承認医薬品等を用いる自由診療について広告する場合、次の5項目の明示が求められています(厚生労働省 医療広告ガイドライン)。

  1. 未承認医薬品(医療機器)である旨
  2. 入手経路等(医師による個人輸入か、国内業者からの購入か)
  3. 国内の承認医薬品等の有無
  4. 諸外国における安全性等に係る情報
  5. 医薬品副作用被害救済制度等の公的救済の対象とならない旨

この5項目は、そのまま読者側のチェック基準として使えます。 検討している施術のページを開いて、この5つが書かれているかどうかを確認してみてください書かれていない場合、その情報は現行の広告規制が求める水準を満たしていない可能性があります。

【表示】スルリム注射に用いられる薬剤について

未承認医薬品である旨:スルリム注射に用いられる薬剤は、日本国内で薬事承認を受けていない未承認医薬品です。 – 入手経路:提供している医療機関の公表情報によれば、医師による個人輸入により入手されているとされています。受診される際は、必ず入手経路をご確認ください。 – 国内の承認医薬品等の有無:脂肪の減少を目的として注射する医薬品で、日本国内で薬事承認されたものはありません。デオキシコール酸を有効成分とする薬剤としては、米国で顎下部脂肪の治療薬 KYBELLA®(2015年4月承認)がありますが、日本では承認されていません。 – 諸外国における安全性等に係る情報:米国FDAは2023年12月20日、FDA未承認の脂肪溶解注射(Aqualyx、Lipodissolve、Lipo Lab、Kabelline 等)について、永久的な瘢痕、重篤な感染症、皮膚の変形、嚢胞、深く痛みを伴うしこりといった有害事象の報告があるとして注意喚起を行っています。またFDAは、承認しているデオキシコール酸注射薬は KYBELLA のみであり、顎下部以外の部位での使用は承認していないとしています。 – 公的救済制度:未承認医薬品や個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません

【表示】当院で用いる脂肪溶解注射(カベリン)について

同じ基準を、自院にも当てはめます。

未承認医薬品である旨:当院で用いている脂肪溶解注射「カベリン」は、日本国内で薬事承認を受けていない未承認医薬品です。 – 入手経路:国内未承認の医薬品は、医師の責任において個人輸入される場合があります。当院で使用している製剤の具体的な入手経路については、カウンセリングの際にご説明します。国内の承認医薬品等の有無:同一の成分・性能を有する国内承認医薬品はありません。諸外国における安全性等に係る情報:米国FDAは2023年12月20日、FDA未承認の脂肪溶解注射(Kabelline を含む)について、永久的な瘢痕、重篤な感染症、皮膚の変形、嚢胞、深く痛みを伴うしこりといった有害事象の報告があるとして注意喚起を行っています。 – 公的救済制度:万が一重い副作用が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。主なリスク・副作用・ダウンタイム:注射部位の腫れ・内出血・痛み・熱感・硬結・しこり・一時的なしびれ。まれに感染・皮膚障害。効果・経過には個人差があります。

他院の施術について未承認であることを書きながら、自院については触れない——という書き方はしません。 同じ基準を自分に当てはめることが、判断材料をお渡しするうえでの最低条件だと考えています。

未承認医薬品を用いる自由診療の広告に必要な5項目のチェックリスト図解

スルリム注射を検討するときのチェックリスト

ここまでの内容を、実際に使える形に落とし込みます。スルリム注射を提供している医療機関を否定する意図はありません。 医師の判断のもと、十分な説明を経て行われる自由診療は存在します。重要なのは、患者側が確認すべきことを確認できているかです。

カウンセリングで必ず確認したい8つの質問

# 質問 確認したいポイント
1 使用する薬剤の製品名・製造元は何ですか? 製剤が特定できるか。特定できれば添付文書等を確認できます
2 デオキシコール酸の濃度はどのくらいですか? 「高濃度」の中身。mg/mL や % で答えられるか
3 この薬剤の入手経路は?(医師の個人輸入/国内業者からの購入) 前述の行政通知に関わる重要事項です
4 この治療が国内未承認であることの説明はありますか? 説明が求められている事項です。書面で受け取れるか
5 想定される回数と、それを含めた総額はいくらですか? 単価ではなく総額。追加費用の有無も
6 想定される副作用と、回復までの期間は? しびれ・硬結が長引く可能性の説明があるか
7 有害事象が起きたときの対応体制は? 夜間・休日の連絡先、提携医療機関の有無
8 途中で中止したい場合の条件・返金規定は? コース契約では特に重要です

これらに明確に答えられるかどうかが、そのまま情報開示の姿勢を表します。 質問すること自体をためらう必要はありません

口コミを読む前に、確認しておきたいこと

「スルリム注射 口コミ」も多く検索されています。ただし、体験談は判断の根拠になりません。 理由は次のとおりです。

  • 効果には個人差があります。 脂肪の量、原因(脂肪かたるみか)、部位、回数、生活習慣が違えば、結果は変わります
  • どの製剤を、どの濃度で、何回受けたのかが分からないまま結果だけが語られています。
  • 評価のタイミングが分からない(腫れが引く前か、3ヶ月後か)。
  • 良い体験談も悪い体験談も、投稿する動機に偏りがあります。

なお、医療広告では、患者個人の体験談を効果として掲載することは認められていません。 医療機関のサイトに体験談が効果の根拠として並んでいる場合は、その点も含めて情報の扱われ方を見てよいでしょう。

口コミを読む代わりに、上の8つの質問を医療機関に直接ぶつけてください。 そのほうが、はるかに確実な判断材料になります。

表示価格の読み方 — 3つのポイント

  1. 「〜円〜」の下限が適用される条件を確認する。
  2. 「1部位」の範囲を、面積として具体的に確認する。
  3. 反復が前提の施術では、2回目以降の料金こそが本体であると考える。
確認しておきたいポイント

部分痩せの選択肢は、他にもある — 目的別に整理する

最後に、視野を少し広げておきます。「スルリム注射をやるかどうか」という問いの立て方自体が、選択肢を狭めていることがあるためです。

部分痩せの施術は、大きく3つの方向に分かれる

医療で部分的な体型の悩みにアプローチする手段は、「何を変えようとしているのか」で3つに整理できます。

  ① 脂肪細胞に働きかける ② 機器で熱・超音波を用いる ③ 筋肉に働きかける
代表例 脂肪溶解注射・痩身注射(スルリム注射もここ)、脂肪冷却 医療ハイフ(HIFU)、キャビテーション 医療用EMS
何を変えるか 脂肪細胞の数を減らすことを狙う 熱や超音波で引き締めや脂肪層にアプローチ(機器により異なります) 筋肉量・基礎代謝にアプローチ
効果の実感 腫れが引く1〜2週間後〜、最終評価は1〜3ヶ月 引き締めは比較的早い/脂肪への作用は1〜3ヶ月 数回積み重ねてから
ダウンタイム 腫れ・内出血・硬結(数日〜2週間。しびれは1ヶ月超も) 赤み・むくみ・軽い痛み(数時間〜数日) ほぼなし(筋肉痛のような感覚)
苦手なこと 広い面積、たるみが主体のケース 脂肪が薄い部位、ピンポイントの微調整 脂肪そのものを減らすこと

重要なのは、この3つに優劣はないということです。悩みの原因が違えば、適した方向が変わるだけです。たるみが主因の方に脂肪への施術を重ねても、筋肉量が主因の方に脂肪溶解注射を重ねても、満足のいく結果にはなりにくくなります

部位によって、考え方が変わる

部位 悩みの正体になりやすいもの 考え方
あご下(二重あご) 皮下脂肪+皮膚のたるみが混在。骨格の影響も 脂肪が主因か、たるみが主因かの見極めが先。混在するケースも多い
二の腕 皮下脂肪+筋肉量。面積は中程度 注射系は顎下以外での承認の裏づけがない点を踏まえて判断。回数がかさみやすい
お腹 皮下脂肪と内臓脂肪が混在。面積が広い 内臓脂肪は局所の施術では減りません。 何が多いのかで打ち手が変わります
太もも 面積が広く脂肪量が多い 面積が広いため、注射系では回数×部位数で総額が膨らみやすくなります

「お腹の脂肪」を一括りにしないことは、とくに重要です。 内臓脂肪が主体の方に局所の注射を重ねても、目的には届きません

施術の選び方は、別の記事で詳しく整理しています

どの方向を選ぶかは、施術名から入るのではなく、悩みの原因から逆算するのが基本です。原因の見分け方、施術ごとの向き不向き、部位別の考え方、費用の見積もり方については、部分痩せの医療施術をどう選ぶか — 注射・医療ハイフ・キャビテーション・EMSの違いと選び方で詳しく整理しています。

また、脂肪溶解注射そのものの効果の出方・回数の目安は脂肪溶解注射の解説記事を、医療ダイエットのメニュー全体は医療ダイエットのご案内を、クリニック選びの視点は新宿の医療ダイエットクリニックを比較した記事をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. スルリム注射は日本で承認されていますか?

承認されていません。 スルリム注射に用いられる薬剤は国内未承認の医薬品です。そもそも、脂肪の減少を目的として注射する医薬品で、日本国内で薬事承認されたものはありません。 これはスルリム注射に限らず、当院で用いているカベリンを含め、国内で使われている脂肪溶解注射すべてに共通します。

Q2. KYBELLA(カイベラ)と同じものですか?

同じとは言えません。 主成分は同じ系統(デオキシコール酸)とされていますが、スルリム注射に用いられる製剤の製品名・製造元・濃度は公開情報から確認できませんでした。 濃度も用法も分からない以上、承認薬と同一視することはできません。なお、KYBELLA 自体も日本では承認されていません。

Q3. 1回で効果が出ますか?

1回で完結する設計の施術ではありません。 米国承認薬の用法は「1ヶ月以上の間隔をあけて最大6回まで」です。反復投与を前提とした薬剤である、という点を先に理解しておくことをおすすめします。

Q4. 効果はいつから実感できますか?

施術直後は腫れによってむしろ太く見えることがあります。 腫れが落ち着く1〜2週間後から変化が分かりはじめ、最終的な評価は1〜3ヶ月後が目安です。ただし、これらは確立した臨床データではなく、承認薬の用法設計と各院の運用上の目安に基づく考え方です。個人差があります。

Q5. リバウンドしませんか?

「リバウンドしない」とは言えません。 破壊された脂肪細胞がその場で再生するとは一般に考えられていませんが、残っている脂肪細胞は、体重が増えれば大きくなります。 見た目としては戻り得る、ということです。「99%リバウンドなし」といった数値表現については、根拠となる公表データを確認できませんでした。

Q6. ダウンタイムはどのくらいですか?

腫れ・内出血・痛みは数日〜2週間程度が目安とされます。ただし承認薬の臨床試験では、しびれが30日を超えて続いた方が42%、腫れ20%、痛み16%、硬結13%と報告されています。「1〜2週間で完全に元通り」とは限らない点は知っておいてください(これは承認薬 KYBELLA のデータであり、スルリム注射のデータではありません)。

Q7. 顔以外(二の腕・お腹・太もも)にも使えますか?

提供している医療機関はボディにも対応しているとされていますが、米国での承認は顎下部のみで、それ以外の部位での有効性・安全性は承認審査で評価されていません。 また、面積が広い部位ほど必要な薬液量と回数が増え、総額が膨らみやすくなります承認の裏づけがない旨の説明を受けたうえで、ご判断ください。

Q8. 副作用が出たら、救済制度は使えますか?

使えません。 未承認医薬品や個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。これは当院のカベリンについても同様です

Q9. 口コミはどこまで信じていいですか?

体験談は判断の根拠になりません。 効果には個人差があり、使用された製剤・濃度・回数・評価のタイミングが分からないまま結果だけが語られているためです。口コミを読む時間があれば、使用薬剤・回数・総額・副作用について医療機関に直接確認するほうが、確実な判断材料になります。

Q10. エイトビューティークリニックでスルリム注射は受けられますか?

当院ではスルリム注射を提供しておりません。 部分的な体型のお悩みについては、脂肪溶解注射(カベリン)、医療痩身注射(リポジェクション)、医療用ウルトラセルハイフ、医療用EMS、内服のリベルサスなど、当院で行っている施術の範囲でご相談を承ります。 ご希望とお悩みの状態をうかがったうえで、内容・費用・リスクをご説明します。

Q11. 医療機関で相談すると、必ず何か施術を勧められますか?

当院では、強引な勧誘は行っていません。 診察の結果、悩みの原因が脂肪ではないと考えられる場合には、そのようにお伝えします「今は施術の必要がない」という結論も、医療機関からの回答のひとつです。

まとめ:成分には根拠がある。ただし「どこに」「どれだけ」が肝心

  • スルリム注射とは:薬剤名ではなく、デオキシコール酸を主成分とする国内未承認の注射薬を用いた施術メニューの名称です。国内で提供を確認できた医療機関は限られており、製品名・製造元・濃度は公開情報から確認できませんでした。
  • 仕組み:デオキシコール酸が脂肪細胞の膜に作用し、壊れた細胞をマクロファージが時間をかけて処理します。腫れ・熱感・痛みは、その過程で生じる反応です。
  • 効果の根拠:成分としては、米国で顎下部脂肪の治療薬として承認された KYBELLA®(2015年4月)があり、第III相試験(実薬514名/プラセボ508名)のデータがあります。ただし承認されているのは顎下のみで、二の腕・お腹・太ももでの有効性・安全性は承認の裏づけがありません。 日本では未承認です。
  • 広告の数値:「最大35%破壊」「従来の5倍」「99%リバウンドなし」といった表現については、根拠となる公表データを確認できませんでした。 数値を見たら、①誰が測ったか ②何と比べたか ③どこで公表されているか、を確認してください。
  • 効果の時期と回数:腫れが引く1〜2週間後から変化が見えはじめ、最終評価は1〜3ヶ月後。承認薬の用法は1ヶ月以上あけて最大6回1回で完結する施術ではありません。
  • リスク:承認薬の試験では、浮腫87%、内出血72%、痛み70%、しびれ66%、硬結23%、結節13%、下顎縁神経の障害4%、嚥下障害2%。しびれは30日を超えて続いた方が42%。加えて、未承認製剤については、FDAが永久的な瘢痕・重篤な感染症・皮膚の変形・嚢胞・深く痛むしこりの報告について注意喚起しています。
  • 料金:提供院が限られており、「相場」は形成されていません。 判断は単価ではなく総額(単価×回数×部位数+諸費用)で。
  • 未承認であること:医薬品副作用被害救済制度の対象外です。これは当院で用いるカベリンについても同じです。

「成分には根拠がある。ただし、それは顎下に対する話であり、日本では承認されていない」——この距離感を持って情報を読めば、広告の表現に流されずに判断できますそして、そもそもの悩みの原因が脂肪なのかどうかを確かめるところから始めれば、選択肢はもっと整理しやすくなります。

エイトビューティークリニック新宿院の施術室と医療機器

新宿で部分痩せ・医療ダイエットをご検討の方へ|エイトビューティークリニック

エイトビューティークリニックは、新宿御苑前駅から徒歩1分(新宿三丁目駅から徒歩5分)の美容医療クリニックです。医療脱毛・ハイフ・ダーマペン・医療ダイエットなどを、有資格の医療従事者完全予約制・完全個室で行っています。平日は21時まで、土日祝も受付しておりますので、お仕事帰りにもご相談いただけます。

  • スルリム注射を検討しているが、判断材料が足りない
  • 未承認の医薬品を用いる施術について、きちんと説明を受けたうえで判断したい
  • あご下・二の腕・お腹の悩みが、脂肪によるものなのか確かめたい
  • 総額がいくらになるのかを、先に把握しておきたい

——そうした段階でのご相談も歓迎です。当院はスルリム注射を提供していないため、その施術をお勧めすることはありません。 また、「今は施術の必要がない」という結論をお伝えすることもあります。 無理な勧誘はいたしません

待ち時間の少ない完全予約制。プライバシーに配慮した完全個室で、周囲を気にせずご相談いただけます。 ご予約・お問い合わせは TEL 03-5362-7023(受付 11:00〜21:00/土日祝対応)または公式サイトから。料金は料金表をご確認ください。

 

本記事の監修

エイトビューティークリニック 東京都新宿区・新宿御苑前駅徒歩1分の美容医療クリニック。医療脱毛・ハイフ・ダーマペン・医療ダイエット等を、有資格の医療従事者が完全予約制・完全個室で提供。 〔監修: エイトビューティークリニック 代表・美容カウンセラー 芥野 由美子〕

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。施術の適応・効果・リスクには個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。


参考(出典)

  • 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」 — https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html
  • 近畿厚生局「医師等が治療に用いるために輸入する場合」 — https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/iji/ishitou.html
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針)」 — https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
  • 国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日) — https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230830_1.html
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度」 — https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0001.html

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