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スルリム注射のダウンタイムはどれくらい?腫れ・痛み・内出血の経過と過ごし方

「打った翌日、人前に出られる状態なのか」「腫れはいつまで続くのか」——スルリム注射のダウンタイムを調べている方が本当に知りたいのは、日数そのものより予定に間に合うかどうかではないでしょうか。

先に結論をお伝えします。デオキシコール酸を用いた注射のダウンタイムは、腫れ・痛み・内出血がおおむね数日〜2週間が目安です。ただし、ここで終わりではありません。しびれや硬さは1ヶ月以上残ることがあります。そして続く長さは部位によって変わります。

つまり、予定は「腫れが引く日」ではなく、「人と会える日」から逆算する必要があります。この記事は、その逆算に使える形で経過をまとめたものです。

この記事では、次のことを整理します。

  • 腫れ・内出血・痛み・しびれがそれぞれ何日続くのか(公的資料と臨床報告の数値)
  • 当日から1ヶ月まで、体の中で何が起きているのかという時系列
  • 部位によってダウンタイムがどれだけ違うのか(フェイスライン・腹部・背部の実データ)
  • 施術後の過ごし方を、「根拠があること」と「慣習として言われていること」に分けて整理
  • 痛みを減らすために、医療機関側で何が行われているのか
  • 医療機関に相談したほうがよい症状の見分け方
  • 予定から逆算してスケジュールを組む方法

### 【本記事について — 先にお読みください】 – 当院(エイトビューティークリニック)は、スルリム注射を提供していません。 本記事は販売目的ではない情報提供として作成しています。 – 実際の施術後の指示は、施術を受けた医療機関の指示が最優先です。 本記事はそれに代わるものではありません。 – 本記事に掲載する数値は、米国で承認されている注射薬(KYBELLA®/ATX-101、有効成分デオキシコール酸)についてのデータです。スルリム注射そのもののデータではありません。 – 脂肪溶解注射は公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)で、費用は全額自己負担です。経過・症状には個人差があります。

目次

スルリム注射のダウンタイム — まず全体像をつかむ

ダウンタイムを「何日」と一言で答えられないのは、症状ごとに続く長さが違うからです。腫れが引いても、しびれが残っていることがあります。まずは症状別に見ていきます。

窓辺で考えごとをする女性
症状 続く期間の目安 30日を超えて続いた割合
腫れ・むくみ(浮腫) 中央値 10〜11日/実臨床報告では平均 7.4日 20%
内出血(瘀斑) 平均 9.8日 —
押したときの痛み(圧痛) 平均 5.5日 痛み全般で 16%
しびれ・感覚の鈍さ(知覚鈍麻) 平均 23.1日 42%
硬さ(硬結)・しこり 個人差が大きい 硬結 13%

※ いずれも米国承認薬 KYBELLA®/ATX-101 に関する添付文書および臨床報告の数値です。スルリム注射のデータではありません。

「腫れが引く」と「元に戻る」は、同じではありません

多くの解説記事は「ダウンタイムは数日〜1週間」で説明を終えています。しかしこの表現は、見た目の腫れが落ち着くまでを指していることがほとんどです。

承認薬の添付文書では、30日を超えて続いた症状として、しびれ42%・腫れ20%・痛み16%・硬結13%が報告されています。つまり4割前後の方で、1ヶ月を超えてしびれが残っていたということです。腫れが引いたあとに「まだ触った感じが鈍い」「硬いところがある」と気づいて不安になる方が多いのは、この段階を知らされていないためです。

掲載している数値の出どころについて

本記事で使う数値は、次の3つの情報源に基づいています。

  • 米国承認薬 KYBELLA®(ATX-101)の添付文書(DailyMed)
  • 顎下部治療の組織学的所見と臨床経過をまとめた論文(Plast Reconstr Surg Glob Open, 2022)
  • 実臨床201名の治療記録をまとめた報告(Aesthetic Surgery Journal, 2023)

いずれもスルリム注射を対象にした研究ではありません。 スルリム注射に用いられる製剤は、製品名・濃度が公開情報から確認できていないため、これらの数値をそのまま当てはめることはできません(スルリム注射とは何かについてはこちらで詳しく解説しています)。それでも、同じ有効成分を用いた注射で何が起きたかは、経過を考えるうえで現時点で最も確かな手がかりになります。

スルリム注射のダウンタイムの症状別に続く期間の目安を示した図解

【時系列】当日から1ヶ月まで、体の中で何が起きているのか

腫れや痛みは「失敗」ではなく、壊れた脂肪細胞を体が片づけている過程で起こる反応です。顎下部の治療について、実際に組織を調べた報告があります。

時点 組織で起きていること 見た目・症状としての意味
1日目 脂肪細胞の融解、血管の損傷、好中球による炎症が最も強い 腫れ・熱感・痛みのピークに向かう。内出血が出るのもこの時期
3日目 炎症の密度が1日目より低下 腫れがピークを越える
7日目 炎症は軽度に。脂質を取り込んだマクロファージが現れる 腫れが引きはじめる。片づけが進行中
28日目 炎症はほぼ消退。隔壁の線維性の肥厚・脂肪小葉の萎縮 硬さが残りうる理由。輪郭の変化が見えてくる時期

施術中〜当日:刺入の痛みと、薬液による熱感は別のもの

注射の痛みには2種類あります。ひとつは針を刺すときの痛み、もうひとつは薬液が入ってから生じる熱感やしみるような痛みです。デオキシコール酸を用いた注射では、後者が主体になると報告されています。

そのため「注射は一瞬だから大丈夫」という感覚とは、体験が異なることがあります。薬液による熱感は、注入後しばらく続くことがあります。医療機関側での痛みへの対策は、後の章で扱います。

当日〜翌日(1日目):炎症がもっとも強い時期

組織学的には、注射の翌日に炎症が最も強くなることが確認されています。腫れ・熱感・赤み・痛みがこの時期に強まるのは、仕組みのうえで自然な経過です。

顎下部の施術では、この腫れによって一時的にかえって膨らんで見えることがあります。ここで結果を判断することはできません。

2〜3日目:腫れがピークを越える

3日目の組織では、炎症が1日目より弱まっていることが報告されています。多くの場合、ここが折り返し地点です。ただし、腫れが引いた分だけ内出血の色が目立ってくる時期でもあります。

4〜7日目:壊れた脂肪の「片づけ」が進む

7日目には炎症は軽度になり、代わりに脂質を取り込んだマクロファージ(不要なものを処理する免疫細胞)が組織内に見られるようになります。腫れが引きはじめるのはこの時期からです。見た目が落ち着いてくる一方で、体の中ではまだ処理が続いています。

1〜2週間:腫れの中央値は10〜11日

臨床試験では、腫れ(浮腫)が続いた期間の中央値は、実薬群で10〜11日、プラセボ群で4日と報告されています。「中央値」とは、ちょうど真ん中の人の日数です。それより短い方も、長い方もいます。

「1週間で引く」と説明されることが多いのですが、公表されているデータの中央値は、それより長いという点は知っておいてよい情報です。

2週間〜1ヶ月:炎症はほぼ消え、硬さが残ることがある

28日目の組織では、炎症はほぼ消退している一方で、隔壁の線維性の肥厚が見られると報告されています。施術後に硬いところを触れるのは、この組織の変化が背景にあると考えられます。 同時に、この時期は輪郭の変化が見えはじめる時期でもあります。腫れが引き、処理が進んでようやく評価ができる、という順番です。

1ヶ月以降:次の回までの間隔と、2回目以降の傾向

承認薬の用法では、1ヶ月以上の間隔をあけて繰り返すこととされています。間隔をあける理由は、炎症が完全に落ち着くのを待つためと説明されています。実臨床の報告では、6〜8週間の間隔で行われるのが一般的とされています。

そして、経過を考えるうえで参考になる数値がひとつあります。欧州の試験では、注射部位の症状が続いた期間の中央値は、初回が6〜7日、2回目以降が3〜4日でした。2回目以降は初回より軽くなる傾向があるということです。実臨床の報告でも、回数を重ねるにつれ症状の持続が短くなる傾向が示されています。

ただし、この差については後の回ほど注入量や注射する箇所が少なくなっていたことが背景にあると説明されています。回を重ねれば軽くなると決まっているわけではなく、何をどれだけ入れるかによって変わる、という読み方が正確です。

部位によって、ダウンタイムの長さは変わります

ここが、多くの記事が触れていない部分です。201名(女性155名・男性46名)を対象に、ジョウル(あご先から耳の下へ向かうフェイスラインのもたつき)・腹部・大腿・腕・背部・膝・胸部・頸部への注射の記録をまとめた実臨床の報告があります。そこでは、フェイスラインとお腹で、腫れが続く長さが2倍近く違うという結果が示されました。

部位 腫れ(浮腫)の平均持続日数
ジョウル(フェイスライン) 5.7日(最短)
全体の平均 7.4日
腹部 10.8〜11.0日
背部 9.2〜12.5日(最長の12.5日は脂肪腫への注射)

同じ報告では、知覚鈍麻(しびれ)の平均は23.1日、内出血は9.8日、圧痛は5.5日、平均治療回数は1.8回でした。重篤な有害事象の報告はなく、症状は注射部位に限られていたとされています。

⚠️ この報告について、3点の注記が必要です。 1. この報告は、承認されている顎下部を対象から外し、それ以外の部位だけを扱っています。 顎下以外の部位への使用は米国でも承認されておらず、これは承認外の使用に関する実臨床の観察報告です。 2. 5.7日は「顎下(あご下)」ではなく「ジョウル(フェイスライン)」の数値です。あご下そのものの数値ではありません。 3. 5.7日は、顎下を対象とした臨床試験の中央値10〜11日より短い数値ですが、対象部位も投与量も手技も異なる別の報告です。「顔なら6日で治る」と読むことはできません。幅として捉えてください。

部位別に腫れが続いた平均日数を比較した横棒グラフ(承認部位である顎下は対象外)

なぜ、部位によって差が出るのか

明確に検証されているわけではありませんが、報告のなかでは次の要因が考えられるとされています。

  • 面積が広い部位ほど、必要な注入量が増える(体幹部は顔まわりより広い)
  • 皮下脂肪が厚い部位ほど、処理する量が多くなる
  • 皮膚の厚み・血流・リンパの流れ、動かす頻度が部位ごとに違う

フェイスラインは面積が狭く、必要量が少なくて済むことが、日数が短い背景のひとつと考えられます。

「日数が短い」ことと「目立たない」ことは別です

ここは誤解されやすい点です。顔まわりは日数が最も短い一方で、最も隠しにくい部位でもあります。

  • あご下・フェイスライン:日数は短い傾向。ただしマスク以外に隠す手段がなく、人と会う予定に直結する
  • 腹部・背部・大腿:日数は長い傾向。ただし衣服で隠せるため、生活への影響は出にくい

つまり、予定を組むときに見るべきなのは「日数」ではなく「その部位を人に見せる必要があるか」です。腹部で12日腫れていても仕事に支障がない方もいれば、フェイスラインで5日でも接客業なら困る方もいます。

顎下以外は、有効性・安全性の承認の裏づけがありません

デオキシコール酸を有効成分とする注射薬で米国が承認しているのは顎下部の脂肪に対する使用のみで、二の腕・お腹・太ももでの有効性と安全性は評価されていません。日本国内では、この系統の注射薬は承認されていません。この点はスルリム注射の成分・承認状況・副作用の発現率をまとめた記事で詳しく整理しています。

施術後の過ごし方 — 「根拠があること」と「慣習として言われていること」

自宅でゆっくり過ごす様子

インターネット上には「施術後にしてはいけない7つのこと」といった記事が多くありますが、その多くは根拠が示されていません。 ここでは、臨床試験や専門家の推奨として確認できるものと、慣習として案内されているものを分けて整理します。

大原則:施術を受けた医療機関の指示が最優先です。 当院はスルリム注射を提供していないため、本記事は術後の指示ではありません。使用した製剤・量・部位によって適切な過ごし方は変わります。

行為 根拠の有無 内容
施術前後の冷却 ✅ 臨床試験で用いられた 痛みの軽減を目的に用いられ、効果が示されている
帰宅後1時間の冷却 ✅ 専門家の推奨 冷やしすぎ(凍傷)に注意
数晩、頭を高くして眠る ✅ 専門家の推奨 顎下の施術について
服用中の薬の事前申告 ✅ 添付文書の警告 抗凝固薬・抗血小板薬は内出血のリスクに関わる
圧迫(顎バンド) ⚠️ 腫れは大きく減らなかった 試験で有意な軽減は示されていない
入浴・サウナ・飲酒・運動 ❌ 一次的な根拠を確認できず 慣習として案内されている
マッサージ・強く押す ❌ 同上 早く引くという根拠は確認できなかった

【根拠あり】冷却 — 施術の前後と、帰宅後

臨床試験では、施術部位の冷却(コールドパック)が痛みを軽減する目的で用いられました。専門家の推奨としても、施術前と施術直後の冷却、帰宅後1時間程度の冷却が挙げられています。ただし、冷やし方・時間・回数は施術を受けた医療機関の指示に従ってください。 保冷剤を直接長時間当てると凍傷のおそれがあります。「冷やせば冷やすほどよい」というものではありません。

【根拠あり】数晩、頭を高くして眠る(顎下の場合)

顎下の施術については、数晩は頭を高くして眠ることが勧められています。むくみは重力の影響を受けるため、就寝時の姿勢は理にかなった対応と考えられます。枕を1つ足す程度で構いません。

【根拠あり】服用中の薬は、必ず事前に申告する

承認薬の添付文書には、抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方では、注射部位の血腫・内出血のリスクに注意が必要である旨が記載されています。サプリメントを含め、服用中のものは施術前に必ず申告してください。 これは施術後ではなく、施術前に効いてくる対策です。

【一部根拠あり】圧迫 — 顎バンドで腫れは大きく減りませんでした

「着圧すれば早く引く」という説明を見かけますが、臨床試験ではチンストラップ(顎バンド)を加えても、腫れの明らかな軽減は示されませんでした。 専門家の推奨でも、圧迫が必要と考える場合には厚い圧迫用ガーメントより、薄い圧迫ドレッシングのほうが好ましいとされています。圧迫すれば腫れが早く引く、と期待しすぎないほうがよいという点は、押さえておいてよい情報です。

【慣習】入浴・サウナ・飲酒・激しい運動

これらについては、一次的な根拠となる研究を確認できませんでした。 一般に、血流が増えると腫れや内出血が目立ちやすくなるという考えから、当日は避けるよう案内する医療機関が多いとされています。

理由が「慣習」であることは、守らなくてよいという意味ではありません。医療機関がリスクを避ける方向で案内しているものであり、実際の可否は施術を受けた医療機関の指示に従ってください。 施術後の一般的な制限については、脂肪溶解注射の効果と回数をまとめた記事でも触れています。

【慣習】マッサージ・痩身機器 — 揉めば早く引く、という根拠はありません

「揉んで流すと早く引く」という説明も見られますが、そうした効果を示す根拠は確認できませんでした。 むしろ承認薬の試験では、硬結23%・しこり13%が報告されており、組織が反応している時期に強い刺激を加える判断は慎重であるべきと考えられます。

シャワーやメイクについては、「当日からシャワーは可、翌日からメイクは可」と案内する医療機関が多いようですが、これも慣習的な案内です。部位と製剤によって変わるため、必ず施術先に確認してください。

痛みは、どこまで減らせるのか

「痛いのが怖い」という不安に、具体的に答えている記事はほとんどありません。実は、痛みや腫れを減らすための方法を比較した臨床試験が存在します。

臨床試験で比べられた4つの方法

顎下部への注射を対象に、患者の負担を減らすための4つの組み合わせが比較されました。

# 内容
① 治療部位の冷却(コールドパックのみ)
② 冷却 + 表面麻酔 + エピネフリン入りリドカインの注射
③ ②に加えて、抗ヒスタミン薬と鎮痛薬の前投薬
④ ③に加えて、チンストラップ(顎バンド)

前投薬を加えると痛みは40%減。ただし腫れは大きく減りませんでした

  • ③(前投薬を加えた群)では、①(冷却のみ)と比べて痛みが合計40%減少しました。
  • 一方で、腫れ(浮腫)は、鎮痛薬・抗ヒスタミン薬・顎バンドのいずれを加えても大きくは軽減しませんでした。

これは、期待の持ち方を整える意味で重要な結果です。痛みは対策で減らせても、腫れの日数はコントロールしにくいということになります。「事前に対策すれば腫れずに済む」という前提でスケジュールを組むのは、避けたほうがよいでしょう。

なお、専門家の推奨としては、施術の1時間前に経口の鎮痛薬、15分前にエピネフリンを含む局所麻酔の前注射が挙げられており、局所麻酔は痛みと内出血の両方の軽減に寄与するとされています。これらは医療機関が判断して行う処置です。

市販薬を自己判断で飲まないでください

上記はあくまで臨床試験および専門家の推奨として報告されている内容であり、読者の方に市販薬の服用をお勧めするものではありません。鎮痛薬の種類によっては出血しやすくなるものもあり、内出血の観点では逆に働く可能性もあります。持病や併用薬との関係もあります。服用の可否は、必ず施術を受けた医療機関に確認してください。

これは相談したほうがよい、という症状

カウンセリングで説明を受ける様子

「この症状は普通なのか、それとも異常なのか」——ここに基準を示している記事はほとんどありません。承認薬の添付文書には、患者に伝えるべき内容として、連絡が必要な症状が明記されています。 そのまま判断の目安として使えます。

添付文書が「連絡すること」として挙げている3つの症状

  1. 顔の筋肉に力が入らない、笑顔が左右非対称になった → 下顎縁神経(あごの縁を走る神経)への影響の可能性
  2. 飲み込みにくい、もともとの症状が悪化した → 嚥下障害の可能性
  3. 施術部位の赤み・痛み・開いた傷(潰瘍)・浸出液 → 潰瘍・組織の壊死・感染の可能性

臨床試験では、下顎縁神経に関する症状は1〜298日(中央値44日)、嚥下障害は1〜81日(中央値3日)続いたと報告されており、いずれも自然に回復しています。ただし、自然に回復した事例があることと、放置してよいことは別です。上記に当てはまる場合は、必ず施術を受けた医療機関に連絡してください。

これらの症状が起こりうる背景として、添付文書には「下顎骨の下縁より上に注射しない」「筋肉・唾液腺・リンパ節・血管への注射を避ける」といった手技上の注意が記載されています。注射する位置が結果を左右する施術である、ということです。

未承認の製剤に固有のリスクについて

米国FDAは2023年12月20日、FDA未承認の脂肪溶解注射について、永久的な瘢痕・重篤な感染症・皮膚の変形・嚢胞・深く痛みを伴うしこりといった有害事象の報告があるとして注意喚起を行っています。

そのため、痛みを伴う深いしこりや、時間が経っても改善しない硬さについては、「よくあること」で済ませず相談してください。

相談先が分からないときは

  • まずは施術を受けた医療機関に連絡します。夜間・休日の連絡先を、施術前に確認しておくと安心です。
  • 連絡が取れない、対応に不安がある場合は、別の医療機関を受診してください。皮膚科・形成外科が候補になります。
  • 契約や返金に関するトラブルは、消費者ホットライン 188に相談できます。国民生活センターは、美容医療サービスに関する相談が増えていることを公表しています。

ダウンタイムから逆算して、予定を組む

ここまでの数値を、実際のスケジュールに落とし込みます。

「初回は、施術後2〜3日、人と会う予定を入れない」

専門家の推奨として示されているのが、この考え方です。初回は経過の出方が分からないうえに、2回目以降より長引く傾向があるためです(初回の中央値6〜7日に対し、2回目以降は3〜4日)。

予定から逆算する早見表

予定・状況 見込んでおきたい日数
在宅・休暇で人と会わずに済む 施術後2〜3日を空ける
顔まわり(あご下・フェイスライン)の施術+顔を見せる仕事 1〜2週間の幅で考える(ジョウルの実臨床平均5.7日/顎下の臨床試験の中央値10〜11日)
腹部・背部など衣服で隠せる部位 10〜13日程度を見込む(腹部10.8〜11.0日/背部は最長12.5日)
内出血が完全に消えるまで 平均9.8日。1〜2週間程度
しびれ・硬さ 1ヶ月以上残る場合がある(平均23.1日/30日超で42%)
複数回受ける計画 1ヶ月以上の間隔(実臨床では6〜8週間)

この表は保証ではありません。 すべて承認薬に関する数値であり、個人差があります。結婚式や撮影など動かせない予定の前は、余裕を大きく取ってください。

複数回・複数部位を考えている場合

承認薬の用法は1ヶ月以上あけて最大6回まで、実臨床では6〜8週間の間隔・平均1.8回でした。仮に3回受けるなら、間隔だけで3〜5ヶ月かかる計算になります。複数部位を同時に行えばダウンタイムはまとめられますが、その分、症状の範囲も広くなります。順番に行えば1回あたりの負担は軽くなる一方、全体の期間は長くなります。

「ダウンタイムがない」という表現を、どう読むか

広告や説明のなかで「腫れない」「ダウンタイムがほとんどない」という表現を見かけることがあります。読み方を整理しておきます。

注入量を減らせば反応は小さくなる。ただし回数は増えます

腫れの程度は、注入した量と面積に影響を受けると考えられます。量を控えれば反応は小さくなりますが、その分、必要な回数は増える可能性があります。つまり「ダウンタイムが軽い」と「1回あたりの変化が小さい」は、同じことの裏表である場合があります。ダウンタイムの軽さだけで比べると、総額と通院回数を見落とすことになります。 製剤ごとの考え方の違いは、スルリム注射と他の脂肪溶解注射の違いを整理した記事で扱っています。

「腫れません」と言い切る説明を見たときに確認すること

  • 何を根拠に「腫れない」と言っているのか(症例数・出典)
  • 腫れた場合の対応と、連絡先はどうなっているか
  • しびれ・硬結についての説明があるか(腫れだけが症状ではありません)

効果とリスクの両方を説明するのが、医療機関の役割です。リスクの説明がない説明は、それ自体が判断材料になります。

口コミや体験談でダウンタイムを見積もらないほうがよい理由

体験談は、製剤・注入量・部位・体質のすべてが書き手固有です。同じ「スルリム注射」という名前でも、中身が同じとは限りません。「3日で引きました」という投稿も、「1ヶ月腫れました」という投稿も、あなたの経過を予測する材料にはなりません。

判断に使うなら、公表されているデータの幅と、施術を受ける医療機関からの説明です。

未承認医薬品であるということ(要点)

ダウンタイムを考えるうえで避けて通れないのが、製剤の承認状況です。症状が出たときに公的な救済制度が使えるかどうかに関わります。要点だけ整理します。

【表示】スルリム注射に用いられる薬剤について – 未承認医薬品である旨:日本国内で薬事承認を受けていない未承認医薬品です。 – 入手経路:提供している医療機関の公表情報によれば、医師による個人輸入により入手されているとされています。受診の際は必ずご確認ください。 – 国内の承認医薬品等の有無:脂肪の減少を目的として注射する医薬品で、日本国内で薬事承認されたものはありません。 – 諸外国における安全性等に係る情報:米国FDAは2023年12月20日、FDA未承認の脂肪溶解注射について、永久的な瘢痕・重篤な感染症・皮膚の変形・嚢胞・深く痛みを伴うしこりの報告があるとして注意喚起を行っています。 – 公的救済制度:未承認医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。

【表示】当院で用いる脂肪溶解注射(カベリン)について 同じ基準を、自院にも当てはめます。 – 未承認医薬品である旨:当院で用いる「カベリン」も、国内未承認の医薬品です。 – 入手経路:国内未承認の医薬品は、医師の責任において個人輸入される場合があります。当院で使用している製剤の具体的な入手経路については、カウンセリングの際にご説明します。 – 国内の承認医薬品等の有無:同一の成分・性能を有する国内承認医薬品はありません。 – 諸外国における安全性等に係る情報:上記FDAの注意喚起の対象製品には、Kabelline(カベリン)が名指しで含まれています。 – 公的救済制度:万が一重い副作用が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。

副作用の発現率や承認の経緯については、スルリム注射の効果と根拠をまとめた記事で詳しく扱っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. ダウンタイムは結局、何日くらいですか?

承認薬のデータでは、腫れの中央値は10〜11日、実臨床の報告では部位により平均5.7〜12.5日です。しびれや硬さは1ヶ月以上残ることがあります。 いずれもスルリム注射そのもののデータではなく、個人差があります。

Q2. 仕事は休む必要がありますか?

専門家の推奨では「初回は施術後2〜3日、人と会う予定を入れない」とされています。ただし部位と職種によります。判断は施術を受ける医療機関とご相談ください。

Q3. 腫れがピークになるのはいつですか?

組織学的には施術翌日(1日目)に炎症が最も強く、3日目には弱まっていることが報告されています。

Q4. しびれが1ヶ月続いています。異常でしょうか?

承認薬の試験では、30日を超えて続いたしびれが42%、実臨床の平均は23.1日でした。1ヶ月続くこと自体は報告されている範囲内ですが、自己判断はせず、施術を受けた医療機関にご相談ください。

Q5. しこりが残っています。

硬結23%・しこり13%が承認薬の試験で報告されています。ただし、痛みを伴う深いしこりはFDAが注意喚起している事象でもあります。必ず相談してください。

Q6. 冷やしたほうがいいですか?マッサージは?

臨床試験では施術前後の冷却が痛みの軽減のために用いられました。一方、揉むことで早く回復するという根拠は確認できませんでした。 やり方・時間は施術先の指示に従ってください(冷やしすぎにご注意ください)。

Q7. お風呂・お酒・運動はいつからですか?

一次的な根拠は確認できませんでした。 血流が増えると腫れ・内出血が目立ちやすいという考えから、当日は避けるよう案内する医療機関が多いとされています。施術先の指示に従ってください。

Q8. 顔と体でダウンタイムは違いますか?

顎下を対象から外した実臨床の報告では、ジョウル(フェイスライン)が最も短く5.7日、背部が最も長く12.5日でした。ただし顔は日数が短くても隠しにくい点に注意が必要です。

Q9. ダウンタイムが取れません。他に方法はありますか?

ダウンタイムの程度は施術によって異なります。目的別の選び方は部分痩せの医療施術の選び方で整理しています。そもそも悩みの原因が脂肪なのかどうかを確かめるところから始めると、選択肢が整理しやすくなります。

Q10. エイトビューティークリニックでスルリム注射は受けられますか?

提供しておりません。 当院では、カベリン(脂肪溶解注射)・リポジェクション(医療痩身注射)・医療用ウルトラセルハイフ・医療用EMS・リベルサス(内服)などをご用意しています。

まとめ:「腫れが引く日」ではなく「人と会える日」から逆算する

  • 全体像:腫れは中央値10〜11日、内出血は平均9.8日、圧痛は平均5.5日。しびれは平均23.1日で、30日を超えて続いた方が42%。
  • 時系列:炎症は1日目が最も強く、3日目に弱まり、7日目に片づけが進み、28日目にほぼ消退します。硬さが残るのは組織の変化が背景にあります。
  • 部位差:実臨床の報告(顎下以外の部位が対象)ではジョウル(フェイスライン)5.7日/腹部10.8〜11.0日/背部9.2〜12.5日。ただし顔まわりは日数が短くても隠しにくい部位です。
  • 過ごし方:冷却・頭部挙上・服薬の申告には根拠があります。顎バンドで腫れは大きく減りませんでした。 入浴・飲酒・運動の制限は慣習的な案内です。
  • 痛み:前投薬を加えると痛みは40%減った一方、腫れはどの方法でも大きくは減りませんでした。
  • 相談の目安:笑顔の左右差・飲み込みにくさ・潰瘍や浸出液は、すぐに連絡すべき症状です。

ダウンタイムは「我慢する期間」ではなく「設計できる期間」です。数値の幅を知っておけば、予定は組めます。そして本記事の数値はすべて米国承認薬に関するものであり、実際の経過は、施術を受ける医療機関の説明が最優先です。

エイトビューティークリニック新宿院のパウダールーム

新宿で医療ダイエット・部分痩せをご検討の方へ|エイトビューティークリニック

エイトビューティークリニックは、新宿御苑前駅から徒歩1分(新宿三丁目駅から徒歩5分)の美容医療クリニックです。医療脱毛・ハイフ・ダーマペン・医療ダイエットなどを、有資格の医療従事者が完全予約制・完全個室で行っています。平日は21時まで、土日祝も受付しております。

  • ダウンタイムがどのくらいになるのか、事前に把握しておきたい
  • 予定に間に合う方法を選びたい
  • あご下・お腹の悩みが、脂肪によるものなのか確かめたい

——そうしたご相談も歓迎です。当院はスルリム注射を提供していないため、その施術をお勧めすることはありません。 「今は施術の必要がない」という結論をお伝えすることもあります。強引な勧誘は行っておりません。新宿の医療ダイエットについてはこちらもご覧ください。

ご予約・お問い合わせは TEL 03-5362-7022(受付 11:00〜21:00/土日祝対応)、または公式サイトから。


本記事の監修

エイトビューティークリニック 東京都新宿区・新宿御苑前駅徒歩1分の美容医療クリニック。医療脱毛・ハイフ・ダーマペン・医療ダイエット等を、有資格の医療従事者が完全予約制・完全個室で提供。 〔監修: エイトビューティークリニック 代表・美容カウンセラー 芥野 由美子〕

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。施術の適応・効果・リスクには個人差があります。詳しくは医師にご相談ください。


参考(出典)

  • ClinicalTrials.gov「Patient Experience Study of Deoxycholic Acid Injection(NCT02007434)」 — https://clinicaltrials.gov/study/NCT02007434
  • FDA「Using Fat-Dissolving Injections That Are Not FDA Approved Can Be Harmful」(2023年12月20日) — https://www.fda.gov/drugs/buying-using-medicine-safely/using-fat-dissolving-injections-are-not-fda-approved-can-be-harmful
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」 — https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
  • 国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日) — https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230830_1.html
  • エイトビューティークリニック 公式料金表 — https://www.8bc.jp/menu/price/

※ 本記事に掲載した数値は、米国で承認されている注射薬(KYBELLA®/ATX-101)に関する資料および臨床報告に基づくものであり、スルリム注射そのものの経過を示すものではありません。2026年9月5日時点で確認した情報です。

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2026.10.04スルリム注射のダウンタイムはどれくらい?腫れ・痛み・内出血の経過と過ごし方

スルリム注射のダウンタイムを、公的資料と臨床報告の数値で整理しました。腫れ・痛み・内出血・しびれがいつまで続くのか、部位ごとの違い、施術後の過ごし方、医療機関に相談すべき症状まで。新宿御苑前のエイトビューティークリニックが解説します。

2026.10.01スルリム注射と脂肪溶解注射の違いは?成分・単位・回数で比べる

スルリム注射と脂肪溶解注射(BNLS・カベリン)の違いを、成分・1回の単位・回数・ダウンタイム・国内承認など6つの軸で整理しました。公表濃度が情報源によって食い違う実情も含めて解説します。新宿御苑前のエイトビューティークリニック。

エイトビューティークリニック新宿院の待合スペース
2026.09.04スルリム注射とは?効果・回数・料金の考え方とリスクを解説

スルリム注射は、デオキシコール酸を主成分とする国内未承認の脂肪溶解注射のメニュー名です。効果の出方と回数、料金の考え方、副作用とダウンタイム、承認状況を公的資料をもとに整理しました。新宿御苑前のエイトビューティークリニックが中立的に解説します。

エイトビューティークリニック新宿院の受付カウンター
2026.09.04部分痩せしたいならどれ?医療ダイエットの選び方を部位別・施術別に解説

部分痩せの医療ダイエットは「脂肪細胞を減らす」「皮膚を引き締める」「筋肉を増やす」の3方向に分かれます。脂肪溶解注射・医療ハイフ・キャビテーション・医療EMSの違いと部位別の考え方、総額の見積もり方とリスクを、新宿御苑前のエイトビューティークリニックが解説します。

2026.09.02エクソソームの効果とは?料金相場・投与方法・リスクと国内の承認状況を解説

エクソソーム(細胞外小胞)の効果はどこまで分かっているのか。作用の仕組み、幹細胞培養上清液との違い、点滴・注射・ダーマペン併用など投与方法別の料金相場、副作用やリスク、国内で薬事承認された製剤がない点まで、新宿御苑前の美容医療クリニックが中立的に解説します。

2026.08.28シミ取りレーザーは何回で効果が出る?種類別の回数目安と料金

シミ取りレーザーは何回で効果が出るのか、老人性色素斑・そばかす・肝斑・ADMなどシミの種類別と、Qスイッチ・ピコ秒・トーニング・IPLの機器別に回数の目安を早見表で解説。料金相場と総額の目安、かさぶたや色素沈着の経過、主なリスクまで新宿の美容医療クリニックがまとめます。

2026.08.24【部位別一覧】医療脱毛の痛みはどこが強い?麻酔と対策も解説

医療脱毛の痛みは部位でどう違う?VIO・ヒゲ・ワキ・顔・すねなど全身の痛みレベルを一覧表で比較し、痛みが強くなる理由、麻酔クリーム・笑気麻酔の効き方と費用相場、自分でできる対策、リスク・料金の目安まで、新宿御苑前の美容医療クリニックが解説します。

2026.08.10フラクショナルレーザーの効果・ダウンタイム・料金相場を徹底解説

フラクショナルレーザーの効果・回数の目安・ダウンタイム・料金相場を、新宿御苑前の美容医療クリニックがわかりやすく解説。毛穴やニキビ跡クレーター・小じわへの作用、CO2など種類の違い、色素沈着などのリスク、ダーマペン・ポテンツァとの違いまでまとめます。

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